発達障害のあるお子様向け キャリアデザイン教育
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診断・特性を受け止めてほしい 親の想いを叶えるプログラム/キーワードは「前向きな他者との相対化」と「困り感の言語化」/担当者インタビュー

夏休みにオンラインで開催した特別プログラム「じぶん研究講座~あなたは何派?~」、当初は期間限定の予定でしたが、反響が大きく9月以降も継続して開催しています。

2021年夏 じぶん研究講座 カリキュラム
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当社では日々の支援の中で、自己理解や告知、受容など診断や特性についてのご相談を受けています。その声に応える形で本講座が生まれました。夏の講座の事後アンケートでは「自分の思いや考えを話せる機会が増えた」「自分や相手の凸凹を知る機会となり、相手のことを考えられるようになっている」「自己を客観的に見つめ、他者と共感できた」「自分の傾向を肯定的に捉える言葉が聞けた」などお子さんの変化に対する驚きや喜びのお声を多数いただきました。

今回は、本講座の企画を担当した高橋に企画の経緯や今後の展望を聞きました。

ーこれまでにない反響でした。企画者としてどのように受けて止めていますか?

高橋)お子さんや保護者双方から、おおむね良い反応をいただけたと思っています。「いろいろな人の意見が聞けて楽しかった!」「自分と同じ意見の人がいてホッとした」「安心できる場所でのチャレンジということで親も安心でした」という感想をいただき、とても嬉しく感じました。私たち自身、このような場が求められていることを再確認できました。

ー企画のきっかけは何だったのですか?また、ねらいはどこに置いたのでしょうか。

高橋)きっかけは、これまで当社に発達障害*の診断名に触れつつ、等身大の自己理解につなげられるような集団のプログラムがなかったことです。日常の支援の現場で「自己理解」や「告知」、「受容」に関する相談はよくいただいていて、それにアプローチするものの必要性も感じていました。また、夏休みは比較的時間や気持ちに余裕があるので、テーマのある講座に参加いただけるのではないかと考えました。

講座のねらいは、支援の現場でのお子さんや親御さんとのやりとりの中から検討し、お子さん向けには「前向きな他者との相対(自分は他の人とは違うところがあるということを前向きにとらえること)」と「困り感の言語化」を、保護者向けには「告知のサポートとしての下地作り」に焦点を当てることにしました。

じぶん研究講座 お子様向けメッセージ

ープログラム作成はゼロからのスタートでした。

高橋)当社の各種プログラムの監修をしていただいている東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫先生に相談し、「世界は少数派の集まりでできている」をプログラムのキーワードにしました。各回のテーマは「宿題、どうする派?」「友達はたくさんほしい派?いらない派?」「親とのキョリ感ってどのくらい?」などの身近な話題です。テーマごとに「あなたは何派?」と問いかけ、自分のタイプや考え方を発信してもらえるように仕掛けました。

その日参加した同じ少数派の仲間とともに、①少数派のいいところや困ること、②その対策、③その背景にある発達特性、について話し合うことで、少数派としての「前向きな他者との相対化」や少数派ゆえの「困り感の言語化」につながるような展開にしました。

ー実際の講座の様子はどうでしたか?

高橋)私は講座中、サポート役として全体の様子を見ていました。特に気を配ったのは、①ナビゲーターと参加者の関係性(一方的に教える形にならないようにすること)、②お子さんたちの発信のしやすさ、③同じ困り感を抱える仲間に出会える環境づくりです。想像以上だったのは、お子さん同士の共感の声が多く寄せられたことです。お子さんたち自身で、発信しやすい居場所やコミュニティを作ってくれました。

また、発信が難しいお子さんには、画面をオフにして聞くだけでもOKとしたことで、お子さんなりの参加の仕方を選べたもよかったと思います。講座では一人一人がとても考えていること、また、抱えていることも分かりました。お子さんがそういった思いをのびのび発信する姿を見て、こちらも安心して講座を進めることができました。

ー講座では参加者やナビゲーターが診断名を発信する場面が印象的でした。

高橋)事前に、講座で診断名が発信されることがあるとお伝えした上で参加いただいています。背景として、日常支援の中でご自身で調べたり、別で知る機会があったりするお子さんが出始めているという実感があったからです。

診断名を挙げられる場にしたのは、告知の下地作りというところが大きいのですが、ASDやADHDを障害としてマイナス面だけを見ないようにしてほしいという思いがありました。特性についても、①発達特性には強みとなる場面がある、②発達特性には弱みとなる部分がある、③弱みとなる部分には必ず対策がある、という3つをセットで理解を深められるように構成しています。

また、診断を受けているのは自分だけではないということを感じてほしい思いもありました。実際、参加者の告知未告知の割合は半々だったので、診断名がスライドが出たときに「おれもASD」「じぶんはASDとADHD」などのチャットが見られました。事後アンケートでも「他にもASDの人がいた」などのコメントもあり、その思いはある程度達成されたのではと考えています。このような場が自己理解を深める後押しにつながると実感しました。

ーアンケートを受けて、どんな成果を感じていますか?

高橋)「同じことを考えている仲間に会えた」「困っていることの対策が聞けて良かった」など共感のチャットや感想がたくさんありました。毎回のアンケートを通して、出来事や感想、対策を言語化する事で、その思考の仕方を強化することができたと思います。親御さんからも「安心できる場所だった」という意見をいただき、前向きに受け止められる素地づくりの一助になったのではと感じています。

ー9月以降も月2回のペースで開催しています。今後の展望について教えてください。

高橋)今は学校も始まりましたので、夏休みから継続して参加いただくお子さんが多いです。夏の講座は、人間関係や日常のよくある場面をテーマにしましたが、9月は学校が再開されるということで生活リズム、疲れ、睡眠を取り上げました。10月は「相手の気持ち」「好きな人」、11月は「家族とのキョリ感」「LGBTQ」がテーマです。もともと長期休暇中の特別企画でしたので、冬休みにも何かできないか考えています。
じぶんの理解を深めることに特化したプログラムになっています。ぜひご利用いただきたいです。

概要

  • 「じぶん研究講座」
  • 日 程:毎月第2、4金曜 20:00~20:45
  • 対 象:小学4年生~高校生(診断の有無は問いません)
  • 料 金:月額10,780円(税込み)
    ※「じぶん研究講座」だけでなく平日毎日開催のTEENSのオンライン講座も併せてご利用いただけます
  • 詳細・申し込み:こちらから

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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